第17章 もう大丈夫
すると、途端に感じる温かい手の感触。
見ると緑間の手が頭を撫でてくれていた。
言葉はないけれど、そこに大きな優しさを感じてまた涙が滲んできた。
「…ごめんね、真ちゃん」
「…泣いていいのだよ。オレはこれくらいしかしてやれないが、」
「いつも真ちゃん頭撫でてくれるよね。恥ずかしいけどなんかいつもすごく落ち着くの。ありがとう。」
「これくらい、いつでもしてやる。」
そう言われ、心結は頭の上にある緑間の手をぎゅっと握った。握った緑間の手は少し冷たかったけれどどことなく温かさを感じる。
この手の温もりにホッとして、それだけでなんだか安心する。けれどもっとこの温もりを感じていたくて心結は隣にいる緑間にそっともたれかかった。
するとそれに答えるように緑間はぎこちなく心結の手をまたぎゅっと握った。
嫌がるかと思っていたのだが、素直に受け入れてくれたことがまた嬉しくて心結はそっと目を瞑った。
身を寄せあっているだけであったかくて眠くなってきて、目を閉じると今すぐにでも寝てしまいそうだ。
いけないと思って目をあけると、緑間は言った。
「お前の母親もお前も、やっぱり親子なのだよ。」
「どうしたの?いきなり」
「話を聞いていると分かる。二人とも周りに迷惑をかけまいと必死に一人で抱え込もうとする。そういうところもそっくりだ。」
「わたしは、」
「お前も同じだ。だからこの話も今まで黙っていたのだろう?」
「……」
心結は下を向いたままコクリと頷いた。
「…隠したいわけじゃないよ?でも人に頼るの苦手だし、話したところでって考えちゃって…」
心結のその言葉を聞いて、緑間ははぁーっと溜め息をついてから言った。