第17章 もう大丈夫
「なっ何を言っているのだよ!」
「わたしも言ってて恥ずかしいけど、でもほんとだもん!」
「……っ」
「みんなと、真ちゃんと出会ってバスケができてよかった!」
恥ずかしいけれど、本心でそう思えた。
もうあの頃の不安なんてないほどに今が楽しいと思える。
「…オレも、」
満たされた気持ちでぐいーっと背伸びをすると、隣で緑間が何か喋っているように聞こえて心結は隣を振り返った。
「何か言った?」
「……オレも、お前と出会えてよかったと言おうと思ったのだよ」
見ると、赤い顔でボソッと言う緑間に心結は一拍遅れてから「え?」と返した。すると緑間は更に赤くなって、
「聞こえなかったのか!?」
「聞こえたよ!」
「…なら、よかったのだよ」
「まさか真ちゃんがそんなこと言ってくれると思わなかったから!びっくりした!」
「………うるさいのだよ」
緑間は頬を染めて少しいじけたように言うと、ぷいっとそっぽを向いてしまった。その仕草が可愛くて心結は笑った。
「真ちゃん可愛いなぁ〜」
「可愛くない!」
面白くてケラケラと笑っていると、緑間はゴホンと一回咳払いをしてから続けた。
「…心結」
「んー??」
「一つ、聞いてもいいか?」
「なあに?」
沈みゆく夕日の中、二人肩を並べてベンチに座る。
街灯の明かりもちらほらとつき始めていて、静かな公園で二人の影だけがふわふわと浮かんで見えた。