第17章 もう大丈夫
「…昔のこと思い出してた!」
「昔のこと?」
「そう。わたしと和成がまだ小さかった時のこと!いっつも遊ぶ時はバスケしてたなぁって。二人がバスケしてたのが昔の光景によく似てたから」
「たしかに昔はよく公園でバスケしてたよな〜」
「二人がバスケしてる姿見たら、二人とも改めてほんとにバスケ好きなんだな〜って!」
「オレは好き嫌いでバスケをしているわけではないのだよ」
「まだそんなこと言うのかよ?w」
「…うるさい」
「さっき先輩達の前で大泣きだったクセに〜行かないでほしいのだよ〜ってな!」
「泣いてなどいない!お前こそ号泣だったのだよ!」
「オレは?普通に泣いてましたけど???」
「くっ……!」
「真ちゃんも号泣だったよね」
「うるさいのだよ!!!」
心結が緑間に釘をさすと、緑間は顔を赤くした。
そんないつも通りの会話をしながら笑っているのがどんなに幸せか実感する。
秀徳に入学する前は、あのことがあってから心結や高尾も少しバスケが嫌いになりかけて距離を置いていたこともあったし、でもいざバスケ部に入部したと思ったらまさかまさか、あの緑間真太郎が秀徳に入学して同じくバスケ部だなんて……
そんなこと誰が予想しただろうか。
だが今となってはそれは運命だったのだと思っているし、心結にとっても高尾にとっても、緑間にとっても運命だったのだろう。
現在の結末を考えれば。
何故だか不思議とまだ帰りたくない気持ちが強くなって、心結はギュッと拳を握った。
「…じゃ、オレそろそろ帰るわ!」
「えっ、」
そんなことを思っていた矢先に、高尾がそう言い出してなんとも言えず寂しくなった。