第17章 もう大丈夫
「昔はよくここに来たよな。心結と真ちゃんが付き合うって報告されたのも、オレが夢に告白したのもここだった」
「なんかちょっと懐かしいね。」
「オレと真ちゃんでよくここでバスケしたし、すげー思い出の場所。」
やはり、いつも通りこの時間にはもう人はいない。
人が誰もいない公園はなんとも虚しく見えて、まるで今の自分の心を映しているかのようだった。
「…ちょっとさ、バスケしてかね?」
「さっきやったばっかだよ?」
「またしたくなった。真ちゃんもやろうぜ」
「…仕方ないのだよ」
「ほら、心結も付き合えよ」
確かにまたバスケが恋しくなって、3人は公園の隣に併設してある小さなバスケットコートに足を踏み入れた。
体育館でやるのとは違う、外の空気を吸いながら陽を浴びてやるバスケは何となく懐かしい感じがして、二人がバスケをしている姿を眺めていると昔の記憶が蘇った。
まだ緑間とは出会っていない、心結も高尾も小さかった頃のこと。
身長は心結も高尾もほとんど変わらなくて、でも二人ともバスケが大好きで、むしろその当時は高尾よりも心結の方がバスケがうまいくらいだった。
テレビで見たように見様見真似で高尾からボールを奪い、自分よりも何メートルも高いゴールにボールが入ると何よりも嬉しくて爽快で、高尾の悔しそうな顔を見て優越感に浸っていた。
今となっては自分はもうバスケはあまりしないし、高尾の方が何倍もうまいから勝てっこない。
けれどそれがとても嬉しかった。
「…心結!」
するといきなり大きな声で名前を呼ばれて、ふと我に帰ると目の前に高尾の顔があった。
「うわあ!」
「どうした?何かあったー?」
二人を眺めていたらいつの間にか自分の世界に入ってしまっていたらしい。変な声を出してしまったことに恥ずかしくなって、心結は小さく咳払いをしてから言った。