第17章 もう大丈夫
それからしばらくして、体育館でみんなで放心状態になりながらぼーっとしていたらもう日は完全に沈み辺りは真っ暗になった。
体育館の電気はつけないままにしていたから月明かりがとても綺麗で、何とも言えない気持ちが込み上げてくる。
惜しむ気持ちを拭えないまま大坪、木村、宮地と分かれた頃にはもうすっかり夜遅くになってしまっていた。
「オレ達もそろそろ帰ろーぜ」
「ああ。」
歩き出した高尾について緑間と心結も歩く。
こうやって3人で並んで家路につくのはいつぶりだろう。
もう随分と昔のことのように感じる。
心結はそんなことを考えながら、ギュッと手を握った。
秀徳高校に入学してから今までにいろいろなことがあって、けれどもう少しでこの生活にも一旦区切りがつくのかと思うと寂しくなる。
日に日にどんどんと成長していく高尾と緑間に追いつきたくて、この1年間精一杯頑張ってきた。少しでも2人の隣に並んで歩きたくて後を追いかけた。だが今わたしは2人の隣に立てているだろうか。
昔から今も変わらず特別な存在の高尾と、今は特別な存在に変わった緑間と対等に肩を並べて歩けているだろうか。
胸を張って言える自信はないけれど、少しでも距離を縮められている気がした。
そんなことを考えながら一生懸命二人のあとをついて行っていると、もうあの最近はあまり来ることがなくなった、でもとても思い出のあるあの公園付近まで来ていた。
最近はめっきり来なくなったけれど、前は何をするにもこの公園に学校帰りに寄って大事な話をしたり集まったりした。
思い出すと懐かしくなって、心結は公園の入り口付近で立ち止まり、小さな公園の遊具をぼーっと眺めた。