第17章 もう大丈夫
「ったく、泣くなよ。…こっちまで変な気分になるだろ」
「高尾も緑間も木村もなんなんだよ。もう、二度と会えねえわけじゃねーだ、ろ」
「宮地、お前も涙出てるぞ」
そう言いながら大坪も右手で涙を拭った。
その光景を見ていた心結も急に涙が溢れてきて、止まる気配のない涙を一生懸命に拭った。
「……卒業、してほしくないっす…っ」
「………」
「ほんとはもっと一緒にバスケして、先輩に怒られたり笑ったりいろんなことしたい、ですっ……」
高尾の口から本音がこぼれるたび涙の量は増えていって、制服の袖をさらに濡らした。
「バカ野郎、そんなこと言われたら卒業したくなくなるじゃんかっ、」
「1年間だけだったけどっ…先輩達とバスケして毎日一緒に過ごせて楽しかった、です。こんなオレだけど試合に出させてくれて、一緒にプレーさせてくれてありがとうございましたっ…!」
高尾のその言葉にその場にいた皆は笑いながらも耐えかねて歯を食いしばった。
「ほんとうに、ありがとうございましたっ」
また改めて秀徳高校に入学してよかったと思った。
秀徳高校のバスケ部に入部できて、みんなとバスケができてよかった。
その日は今までになく、心からそう思った。