第17章 もう大丈夫
「これからもこいつらのこと、支えてやってくれよ。きっとこいつらにはお前達がいないと何にもできないからな。」
「分かりました!頑張ります!!!」
「ほら良かったな高尾も緑間も!」
大坪と木村の言葉に、心結だけじゃなく高尾と緑間も笑った。
その後は部室で今まであったことを談笑したり、体育館でバスケをしたり。その光景を心結はニコニコしながら眺めていた。
しばらく先輩達が引退して2年生、1年生だけで練習していたにも関わらず先輩達の体力は全く衰えていなくて、それどころかつい昨日まで一緒にプレーしていたのかのように思える。
1年間しか一緒に過ごしたりプレーしたりできなかったが、得たものは1年分以上のものだった。
「じゃあオレ達もそろそろ行くか。」
宮地がその場に落ちていた最後のバスケットボールをかごに戻すと言った。それを見て、体育館のステージの上に乗っていた心結もみんなのところに近寄った。
「そうだな。もう遅いし」
「最後にまたお前達とバスケができてよかった。ありがとう」
「こちらこそ!楽しかったです!」
額の汗を拭いながら高尾は言った。
けれどそういった途端、突然どこからともなく寂しさが襲ってきて目頭が熱くなった。
「こちらこそ、ありがとうございました。」
緑間がぺこりと頭を下げると、心なしか緑間もうっすらと涙が浮かんでいるように見えた。それを見ていると余計に視界が霞んできて、高尾はそれを抑えるように歯を食いしばって言った。
「あ、れ…もしかして真ちゃん泣きそう?ははっ…」
「…泣いてなどいないのだよ」
「目から涙出てるよ」
「目に、ゴミが入っただけなのだよ」