第16章 ユラユラ
高尾の問いかけに夢は小さくコクリと頷くと、二人は河原の草の上に並んで腰掛けた。
「……ほんとごめん」
夢は膝を抱えて顔が見えないように丸くなっていると、隣で高尾が言った。
「…かっこわりーし最低だって分かってるけど、それでも夢に言いたいことがあった」
「……心結ちゃんのこと…?」
「違うっつーの!」
「……心結ちゃんはもう緑間くんのだからダメだよ」
「ちげーよそんなんじゃねぇ」
「じゃあどうしたの?…ぐすっ」
もう何がきたって驚かない。
そう思いながら夢は鼻をすすった。
「……夢にフラれてから考えたんだ。なんでオレはお前を庇ってケガしたのか、なんでお前にフラれてこんなにムシャクシャしてんのかって」
「………」
「最初は分かんなかった。でも考えても考えてもお前が頭から離れねーんだよ。」
「………」
「オレは心結が好きだったはずなのに、途中から頭に浮かぶのは夢の顔ばっかりだった。
お前に助けを求めてるうちにお前が必要不可欠な存在になってた。きっとオレは意地ばっか張ってバカな子供のままだったんだ」
「………」
「けど今ならよく分かる。……オレが今好きなのは、大切なのは……」
「………」
「……って、聞いてる?」
「……聞いてる」
「…今さらって思うかもしんねーし、オレのことクズって思ってるかもしんねーけど……」
そこで高尾は一拍あけてからゆっくりと息を吐き出して言った。
「夢が、好きだ。」
「………」
「……あれ?」
「……うそ」
「…ウソなんかじゃねえ。……だからまた一から、オレと、付き合ってください!」
「………」
「あれ、聞いてますか…?」
夢からは何の反応もない。
気になって顔をのぞき込んでみると、夢の身体が小刻みに震えているのが分かった。