第16章 ユラユラ
心結に打ち明けてからずっと、一晩オレなりに考えた。
やっぱりオレは夢が好きだったんだ。
この気持ちを認めてしまえば心がスッと軽くなって、あとはどうやって夢に自分の気持ちを伝えるかだった。
「真ちゃん」
「…高尾」
『お前が西堂のことをなんとも思っていないのなら別れた方がいいのだよ。これでは西堂を傷付けるだけだ。』
あの時の言葉がこころに突き刺さったのも、言われたのが不快だったからという理由じゃなくて、その言葉通りオレのせいで夢が傷付いているという罪悪感と緑間の言葉が何も言い返せないほどに図星だったからだ。本当はその時から心は半分夢に傾いていたはずなのに、どうして気付けなかったのだろう。
きっと、今までずっと思い続けてきた相手ではなく夢を好きになってしまっているということを認めたくなかっただけなのかもしれない。
ただ申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
でも今は本当のことを緑間にも分かって欲しかった。
だから放課後、緑間に声をかけた。
「…何か用か?」
「…話したいことがあるんだけど、いい?」
「…ああ。」
「ありがと。心結待ってるだろ?なのにごめんな」
「高槻なら、西堂と帰るだろう」
「え、心結と帰ってないの?」
「ここ最近は帰っていない。」
「なんで?茶化されるから?」
「………」
緑間は分かるか分からないかくらいに小さく頷いた。とても不機嫌そうに。
「ハハ、真ちゃん臆病だからなぁ」
「うるさいのだよ」
「じゃ、久し振りに一緒に帰ろーぜ」