第16章 ユラユラ
「なんか、ヘンなかんじ。」
昔のようにこうやって話していると自然と心が落ち着く気がした。
心結に、夢に振られたと話してみようか。話せば気持ちが軽くなる気がするし、心結になら遠慮することなく何でも話せる。
高尾は息をのんで恐る恐る口を開いた。
「なぁ心結」
「んー?」
心結は窓の冊子に頬杖をつきながら答えた。
「…オレの話、聞いてくんね?」
「うん。なに?」
高尾は目線を下にずらし一瞬口ごもってから言った。
「… 夢と別れた」
「………え?」
心結は一瞬耳を疑ったように固まって問いかけた。
「…つか、夢にフラれた。」
「………なんで、」
「…オレも分かんねぇ。なんでだか」
二人とも、同じタイミングで空を見上げた。
今日の空は曇っているのか星が全く見えない。
困った時、気まずい時、どうしていいか分からない時に上を見上げるのは二人の共通の癖だった。
「…でもわたしは夢が本心で和成のことを振るなんて考えられない。」
「…なんでそう思う?」
「だって夢…あんなに和成のこと好きだって言ってたんだよ?ずっと片想いで憧れて、やっと高尾くんと付き合うことになったってあんなに嬉しそうだったのに」
「…………」
だったら、何故別れを告げたのだろう。
しかもこのタイミングで。
「夢になんて言われたの?」
「…もうこれ以上、オレに迷惑かけたくないからって。」