第16章 ユラユラ
包帯ぐるぐる巻きの重たい脚を引きずって、やっとこさっとこ家に着いた。
授業中も考えれば考えるほどそれに比例するように足の傷も疼いてきて、考えるのをやめようと思ってもモヤモヤが頭の中に残る。
玄関のドアをあけて、真っ先に暗くなった自室のベッドの上に倒れ込んだ。
深呼吸をして、目を瞑る。
やはり一番に頭に浮かんだのは夢の顔だった。
なんで、
オレが好きなのは心結だろ?
横になって丸くなると、机の上に置いてある携帯電話が光っているのが見えた。見る気になれなかったが少しでも気晴らしになればと高尾は携帯電話に手を伸ばした。
開いてみるとメールが来ていた。件名を見ると、そこには『夢』の文字。
『和成ずっと元気ないみたいだけど大丈夫?
やっぱり足、痛いの?』
昨日見舞いに来たにもかかわらず、まだ心配してくれているのか文面には心配する文字が書かれていた。
『大丈夫
心配してくれてんの?』
そう打って返信した。
携帯を閉じて返信すると、数分後また心結からメールが来た。
『カーテンあけて』
すぐさまカーテンを開けると、目線の先には心結がいた。高尾に気付いて心結は自室の窓を開けた。それを見て高尾も自室の窓を開ける。
「和成!ごめんね!」
「大丈夫。ありがとな!」
高尾の部屋と心結の部屋からお互いに会話を交わす。家が隣同士、部屋が隣同士だからこそできることだ。
「こうやって話すの久し振りだね。」
「そだなー。前にこうやって話したのは最後の全中のとき」
「もう一年以上前かぁ」
この光景が妙に懐かしく感じて、なんだか微笑ましくなった。