第16章 ユラユラ
「…緑間くん?」
緑間の背が高すぎて、身長の低い夢では緑間の顔は視界に入らなかったらしい。
緑間を見ると、いつものように今日のラッキーアイテムであろう双眼鏡を手に持っていた。
「どうした?足下がおぼつかないようだが、大丈夫か?」
「…うん!大丈夫!緑間くんこそどうしたの?」
「高尾の見舞いに行った帰りだ。全く、いつも危なっかしいからいつか事故を起こすと思ったら本当に起こして…西堂は高尾のところに行ったのか?」
ドキリ。
緑間の言葉に胸に何かが突き刺さった。
本当は高尾に会いたいけれど、もう会えない。
「…西堂?」
俯いていた夢を心配してか、緑間は夢に声をかけた。そして微かに震える声で言った。
「………実はね、わたしたち…別れたんだぁ」
「…別れた?」
「…うんっ」