第15章 緑とオレンジ
「あのね!高尾くん!」
「んー?」
「わたしも今度高尾くんにあげたいものがあるの!」
「え、なになに?」
「まだ秘密!今作ってるから!」
「手作り?マジで?楽しみー!」
「あっあんまり期待しないで!簡単なものだしヘタだから!」
「んなもん気にしねーし。とりあえず待ってるから」
また、高尾の笑顔を想像した。
早く完成させなければ。
隣で笑う高尾を見て、今日も帰ったら即作業に取り掛かろうと決心した。
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毎日毎日チクチクチクチク。
失敗を繰り返して少しずつ、やっと完成が近付いてきた。バスケットボール型のお守りで、そこには「勝利」の文字と「K.T.」という高尾のイニシャルが。
我ながらうまくできたと思う。
…高尾くん、喜んでくれるかな?
喜んでくれた時の顔が早く見たくて、夢は可愛い袋に包んで明日学校に持っていくカバンに入れた。
そしてそのカバンを持って、翌朝学校へと向かった。
帰りに渡そうと思って、カバンの中に大事にしまってあるお守り。きっとお守りも早く高尾の手に渡りたいとワクワクしていることだろう。
夢は、緊張でドキドキ。
あと少しでいつもの時間。いつもの場所でしばらく高尾を待っていると、制服に着替えた高尾がいつも通りやって来た。
「待たせてわりー」
「大丈夫だよ!」
ついに、渡す時が来た。
どのタイミングで渡そう。
とりあえず、そのまま二人は校門を出た。