第15章 緑とオレンジ
夢は暗くなった部屋のベッドで寝っ転がりながら考えた。
…少しでも高尾くんに喜んで欲しいな。
目を閉じて考え込む。
少しでも気持ちを伝えられるもの。
「そうだ!」
何か頭に浮かんだのか、夢はベッドから起き上がると、部屋の電気を付けて引き出しから何かゴソゴソとあさり始めた。
「どこだっけ〜……」
確かここにしまっておいた記憶がある。
曖昧な記憶を辿りながら夢はただ引き出しの中身を出し続けた。
「………あった!」
夢が手にしていたのは裁縫道具。
小学生や中学生の時に使ったっきり、引き出しの中に閉じ込めたままにしていたものだった。
裁縫道具を見つけるや否や、夢は机の上に裁縫道具を広げ始めた。
裁縫なんて授業でやったっきり。
久々すぎて縫い方も忘れてしまった。
だが今はそんなことお構いなし。
「少しでも喜んでくれるように頑張ろっと!」