第15章 緑とオレンジ
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「高尾くんっ」
「ん?」
振り向くと、そこには夢が立っていた。
「…昨日はごめんね。」
「何が?」
「その…せっかく連れてってくれたのに帰らせちゃって…」
「別にいいって!気にしねーし!あんなとこでイチャついてるカップルが悪い!」
確かに気にしてはいないのだが、久しぶりにあの景色を見たかったというのも事実だった。
「ほんとうにごめんね。」
「また今度行こうぜ。今度は頂上からあの景色見せてやりてーし」
「…うんっ」
「じゃ、部活行ってきまーっす!また後でな!」
高尾は勢いよく立ち上がり、カバンを手に持つとヒラヒラと夢に手を振ってその場から立ち去って行った。
ーーーなぜいつも考えることが同じなのだろう。
いつもその場所には心結と緑間がいて、先を越されてしまう。
高尾も心結も、そんなに考えることが似ているのだろうか。
まるで、二人が糸かなにかで繋がっているかのようで。
不安で押し潰されそうだった。
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「心結!空!」
「「なに???」」
夜8時を過ぎた頃。
高槻家では家族会議が行われていた。
リビングにあるテーブルを三人で囲んで心結、空、茉紘の順に座る。
なにやら大切な話をするようで、茉紘の顔は真剣そのもの。二人の間にも緊張が走った。
茉紘は一旦息を吸い込んでからゆっくり吐き出すと、真剣な面持ちで言った。
「…実はね、戻らなくちゃいけないことになったの。」