第15章 緑とオレンジ
「ついた!!!」
最後の一歩を踏み出した、その時に見えたものはまずキラキラに光る夜景。
そして辺りを見回すと、カップルだろうか、ひと組の男女が目に入った。
わぁ、…ちょっと気まずいなぁ。
そこには隣の男の子に抱きつきながらニコニコ話す女の子の姿。
あれ?
もしかして、
「っ………」
「夢!はえーよ!」
「っ!」
後ろには急いで夢の後を追ってきた高尾の姿が。
夢は息を呑んで高尾を振り返った。
「高尾くんっ!ごめんなさい、やっぱり帰ろう?」
「へ?なんで?」
「あのっ……カップルがいて……」
「気にすることねーじゃん。すげー夜景だぜ?」
「キスっ……したりしてたからっ、だから……恥ずかしいし気まずいしっ……」
咄嗟に嘘をついた。
「…じゃあやめっか」
「…ごめんなさいっ」
そのまま、二人はその場を後にした。
きっと、あの距離なら自分の存在に気付いていないはず。
ーーー心結も、緑間も、高尾も。
気付いていないことを祈ってただ夢は坂道を下り続けた。