第4章 秀徳高校バスケ部
早くもクラスの中でムードメーカーな高尾は、部活を問わずいろいろな人と仲良くなっていた。が、それでも高尾が一番興味を示しているのが必要以上に口を開かない緑間だった。
その後高尾と緑間は少しずつクラスの中や部活でも話すようになっていった。
といっても高尾が一方的に緑間に話しかけているだけだったが、日々少しずつ口数が増えていく緑間に、高尾は嬉しさを感じていた。
部活終わり、高尾は帰ろうと校門に向かう途中の体育館。今日もボールの弾む音がした。
また居残りで練習している人がいるのだろうと素通りしたところで思いとどまる。
今日は先輩たちは校外学習のため学校にはおらず、部活にも来ていなかった。
いつも最後まで体育館を使っているのはバスケ部で、他の部活も皆帰宅したはず。
不思議に思った高尾は引き返し体育館の中を覗いた。
中を覗くと、そこには1人シュートの練習をしている緑間の姿があった。
中にはバスケットボールがたくさん転がっている。
その姿をしばらく見ていた高尾は、部室へと引き返した。
バッシュを取り出し、再度練習着に着替えると、そのまま体育館へ向かう。
「お疲れ様。」
「…高尾か。何の用なのだよ」
緑間はボールを持ったまま振り向きざまに言った。
「オレも居残りしようと思ってさ。いいよ、気にしなくて」
「……そうか。」
その日はそのままお互いずっと喋ることなく黙々と練習を続けた。
そしてその日以降、高尾は部活が終わっても毎日夜まで居残りで練習するようになった。