第15章 緑とオレンジ
「昔は今よりもっとわたしも和成もヤンチャだったから今じゃ考えられないようなことしてたの!」
「考えることが馬鹿そうなのだよ」
「この丘から東京の街に向かってバスケットボール投げようとしたり」
「かなり馬鹿なのだよ」
「ほんとにやらなくてよかった〜今考えたら怖いわ〜」
「オレもゾッとしたのだよ」
「上からバスケットボール落ちてきたら怖いもんね」
「………」
「まぁ言い出したのは確か和成だったけど!」
「…高槻」
「ん?」
問い返す。すると、
「…もういいだろう。他の男の話をするな。」
「え?」
「他の男の話をするなと言ったのだよっ!」
それだけ言ってぷいっとそっぽを向いてしまう緑間。
夜景の明かりにしか照らされていなくても、顔が赤くなっているように見えた。
普段なら絶対にこんなことは言わないのに、この気持ちはなんだ?
他の男はもちろん、高槻が高尾の話をしているだけで少し苛立ちを覚える。
絶対に誰にも高槻を渡したくない。高尾にも、誰にも。
異性を好きになるとはこういうことなのか?
「…嫉妬してくれてるの?」
「嫉妬などしていないのだよっ!」
「ツンデレだな〜」
オレが嫉妬など、するはずがないのだよ。…多分。
「じゃあ素直になれない緑間くんのために、今度はわたしから抱き締めてあげよう!」
ぎゅっ
「っっっ!!!??」
「今度はちゃんと心の準備したから大丈夫だよ。ホラホラ!」
さっきは自分からやったにも関わらず、不意打ちで抱き締められると心臓に悪い。
ぎゅ〜っ
心結は安心しきったように緑間の胸に顔を寄せた。
「……オレの心の準備がまだなのだよ…」