第15章 緑とオレンジ
きゅうぅんっ
なんだこれは。
胸を締め付けられるようなこの感覚は。
「嫌だったわけじゃないからっ、勘違いしないでほしいの!」
一生懸命に、真っ赤な顔でチラチラとこちらを見ながら言う心結。反対に嫌な思いをさせてしまったと思っているのだろうか。
必死に謝る心結を見ているとおもしろくなってきて、緑間はまた笑った。
「勘違いなどしていないのだよ。」
「人がせっかく必死に謝ってるのに笑うことはないと思うよ!?真ちゃんのバカ!」
「いいだろう、笑った顔が見られて」
「…よかったかも。……ってちがう!」
プンスカする心結を見て緑間はまた笑った。
完全に今日は立場が逆転している。
「真ちゃんのバーカ!偏屈!」
心結はそっぽを向いてまた夜景に視線を戻した。
それと一緒に緑間もまた心結に並んで夜景を眺める。
こんなことをしている間に完全に日が沈んで、いくらかオレンジだった空も完全に黒くなった。
「…実はね、ここ昔からわたしと和成の秘密の場所だったんだぁ」
「そう、なのか」
「うん。小さい頃は毎日和成といろんなところ遊び回ってて、それで見つけた場所がここなの。こんなにきれいでいい場所なのにいつも人はほんとんどいなくて、わたしと和成の特別な場所だったんだよ!」
「そんな大切な場所をオレに教えていいのか?」
「うん!真ちゃんにも見てもらいたいと思ってたし!」
本当にここは綺麗な場所だった。
周りを見渡しても二人以外は誰もいない。
心を落ち着かせたい時、誰もいない場所に行きたい時にはぴったりだ。