第15章 緑とオレンジ
「うん!!」
キラキラの夜景を背に、心結はキラキラと笑ってみせた。
こんな笑顔を見てしまったら、もう夜景なんて目に入ってこない。ただそう言って笑う心結が愛しいと思った。
「……高槻」
「ん?」
丘の一番高いところの真ん中で心結の名前を呼ぶと、心結は緑間に目線を合わせるように少し上を向いた。そしてまた少し強引にこちらに向かせて、緑間は自分よりもひとまわりもふたまわりも小さな心結の体を抱き締めた。
「……っ!!!??」
いきなりのことに驚きで動揺しているのが分かる。
けれど緑間はそんなことはお構いなしにすっぽりと腕におさまった心結を抱き締め続けた。
するとだんだんと緊張がおさまってきたのか心結もぎこちなく緑間の背に手を回した。
嫌がられることも覚悟のうえだったが、背にまわされた心結の腕にホッとして、少しだけ抱き締める手に力を込めた。
何も言わずに、しばらくこの温もりに浸る。
「真ちゃん……?」
「……ん?」
「あの…っこのままじゃ心臓もたないです…」
「……っ!」
半無意識に心結を抱き締めていたことが今更になって恥ずかしくなって、緑間は素早く体を離した。
「すまないのだよっ!」
「ううん!大丈夫っ!」
体が熱い。
息を吸って落ち着いて、また謝ろうとちらっと心結を見ると、心結は真っ赤な顔で目をパチパチさせながら固まっていた。
「…高槻」
「…へ?」
「その…いきなりこんなことをしてしまってすまないのだよ」
「ちがうのっ!いきなり抱き締められたからびっくりしてっ…」
「驚かせてしまったな」
「…ほんとはもっとぎゅっとしててほしかったんだけどこのままじゃドキドキしてヘンになりそうだったからそのっ……」