• テキストサイズ

The Way【黒子のバスケ】

第15章 緑とオレンジ





と、いうことで心結に言われるがままにやってきたのは小高い丘だった。
着いた頃にはもうすでに星が輝きだし、東京の街を一望できるその場所からはちらほらと夜景も見えた。


「すごい場所だな」


「きれいでしょ?お気に入りの場所なんだ〜」


展望台なんかに登らなくてもここなら十分夜景が見渡せる。その上上を見上げれば夜空とのコントラストだ。


「ずっと来たいと思ってたの。真ちゃんにも見せてあげられてよかった〜」


「……きれいなのだよ」


興味津々で顔を輝かせる心結。
この笑顔を見るとなんだか胸が締め付けられるような気がしてもどかしくなった。


「真ちゃんもおいで!あ、あそこ秀徳じゃない!?」


手で招かれ心結の隣に立つ緑間。指さされた場所を見ると、小さく秀徳高校が見えた。
もう明かりはついておらず、誰もが帰宅した様子だった。


「あれは東京タワーだよね?ってうわあ虫!!!」


飛んできた虫にバタバタと手を振り上げて追い払う心結。その姿を見ているとなんだかおかしくなってくる。


「……お前はいつも笑っていていいな」


「…?」


「お前を見ているとこっちまで笑えてくるのだよ」


必死に虫を追い払う心結の姿を見ているとなんだかおかしくなって、緑間はクスリと笑った。
普段なら興味無しか呆れるところなのに、なぜか心結を見てると笑えてきた。


「……笑ってる」


「む?」


「真ちゃんが笑ってる……」


「オレが笑うとそんなにおかしいか?」


「ううん!真ちゃんもそんな優しい顔できるんだなって思って…」


「それは悪口なのだよ」


「……いつもの仏頂面もいいけど真ちゃんも笑ってたほうがかっこいいよ」


「?」


「……今の顔大好き」


「……なら、また笑わせてほしいのだよ」


緑間はまたふっと口元を緩めて笑って見せた。



/ 344ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp