第15章 緑とオレンジ
「これでもまだ好きではないと言いきれるか?」
何もかもが当てはまっていて、何も言い返せなかった。
全て図星で、これ以上隠すことは無理だと思った。
「……好きだよ」
高尾は無意識に緑間にしか聞こえないような小さな声で言った。
「……そうだよ、オレは心結が好きだ。………中学ン時から、真ちゃんが心結を好きになる前からずっとな」
緑間は特段驚く様子もなく、いつものように鋭い目付きで高尾を見た。
「……何故、何も言わずに黙っていたのだよ」
「……はい?」
「何故オレがお前に打ち明けたときに何も言わなかった?お前も高槻が好きだったのだろう?」
「…は?真ちゃん何言ってんの?普通言う?『ボクのがずっと前から心結のことが好きだったんだ!だから諦めて!』って?……バカじゃねーの」
「………」
「……前にもこんな話したよな。居残りして初めて喋ったとき。覚えてる?」
「覚えているのだよ。その時お前はオレに『オレのことを認めさせたかった』と言ったな」
高尾は大きく息を吸い込み、大きく吐き出した。
緑間はただ黙ってその一部始終を見ていた。
「真ちゃんてすげー鈍感なのにさ、たまに鋭い時あるよな」
「当たり前だ。帝光時代、赤司の異変に一番に気が付いたのは誰だと思っているのだよ」
「そっか、真ちゃんか」
「それに、もうお前とは一年近くいる。そんなことくらい嫌でも分かるようになるのだよ」
「……っるせーよ」
最後に言った緑間の言葉が妙に突き刺さって、反対に怒りを覚えた。
何もかも、最初から緑間にはお見通しだったのだ。
本当は、今だって心結が好きだということを。
「…オレはずっと心結が好きだった。でも心結は真ちゃんが好きなんだよ。なら仕方ねぇじゃん」
「……すまないのだよ」
「謝んなよ…オレすっげーダセェじゃん…」
自分が惨めに思えてきて、高尾は奥歯を噛み締めた。
あの時のように、強く。