第15章 緑とオレンジ
何もなかったかのように平静を保って歩き出す。
そして夢の手を引っ張った。
「行こーぜ、夢」
「高尾くんっ…!」
しばらく歩いても手は引っ張った時のまま。
高尾は夢の手を離そうとはしなかった。
一向に離さないものだから、なんだか恥ずかしくなる。
「高尾くんっ」
「ん、どした?」
「えっと、その……手、」
「手?」
「もう離しても大丈夫だよっちゃんと着いて行くから!」
「……離したくねーんだけど」
「……え?」
「手、このまま離したくねぇ。から、家まで送ってく」
「え!!?」
「ダメ?」
「だっだめじゃないけどっ!」
「けど?」
「なんかっ…なんでもない!」
夢はこの状態が恥ずかしいのか、少し目に涙を溜めて俯きがちに高尾の横を歩く。
いつもよりゆっくりと、一歩一歩。
もうオレ達、抱き締めることだってしたんだから手繋ぐくらいなんたってことないと思ったんだけど。
真っ赤になっている夢を見ると、これすらも恥ずかしいらしい。
少しだけ、からかってみるのも面白い。
「恥ずかしい?」
「っ……///」
どうやら図星だったらしい。
ピクっと身体を震わせて、さらに赤くなる夢。
ちょっとかわいいとも思った。
「だって男の子と手を繋ぐなんて幼稚園の時以来だし、それに高尾くんだか……って違う!なんでもないっ!」
「オレだから?」
「〜〜〜っ///」
やっぱりなんだか、夢といると嫌な思いが消えて落ち着く気がする。