第15章 緑とオレンジ
「二人が秀徳でバスケしてるのもきっと運命なのかも!」
「………」
運命、か。
なら、緑間が心結を好きになるのも運命だったってことか?
きっとそう考えるべきなんだろう。
オレ達が出会ったのも。
「そうかも、な」
不意に隣を見ると、夕焼けと星が混ざった空を眺めている夢の顔が目に入った。
今にしてみてば運命なんて言葉は馬鹿馬鹿しい。
つられて高尾も空を眺める。
この幻想的な空を眺めていてもそう思う。
嫌になって、止めていた足を前に動かした。
テクテクと、ただ二人並んで歩く。
いつもと変わらない。
二人で学校を出て、帰り道を歩いて、話して、そしてあのいつもの公園の道まで。
そこでいつも二人は分かれる。
そのまま、分かれるはずだった。
この時間の公園はいつも誰もいない。
たまに隣のバスケットコートでバスケをしている人は見かけるが、公園の遊具で遊んでいるものなどほとんどといっていい程見たことがない。
けれど今日は珍しくそこに人影があった。二つあるブランコに、制服を着た男女が何も言わぬまま座っていた。
見覚えのあるセミロングの女の子と、緑の髪の男の子。
二人は何も喋ることなく、ぎこちなく、だがはっきりと手を繋いでいる。
ここからは背しか見えないが、その姿は紛れもなく、心結と緑間だった。
「………っ」
なぜだか胸が痛む。
あのふたりは付き合ってんだから手ぇ繋ぐことくらい、普通のことだろ。
なんでこんな気持ちになんだよ。
ハッと我に返って、二人の存在に気付かないフリをしてその場を通り過ぎようとした。
「………」
「高尾くんっ、どうかしたの?」
一瞬足を止めた高尾が気になったのか、夢は高尾に問うた。
「あぁ、わりぃなんでもねー」