第15章 緑とオレンジ
「高尾くん!遅くなってごめんね!」
廊下を駆け抜けてきたのは夢。
もうみんな下校して、静かになった学校で夢の声が響いた。
「ん、だいじょぶ。帰ろーぜ」
夢の委員会が終わる時間まで高尾は学校でしばらくの間時間を潰している。そんな日々がここ最近続いた。
二人で帰る頃にはほとんど学校に人はいない。
「いつも待たせちゃってごめんね!」
校門を出るところで夢が言った。
「大丈夫だって。二人で帰れるんだし気にしてねーよ!」
そう言って高尾は笑顔を見せた。
待たせてしまって悪いと謝ると、高尾はいつも気にすることはないと笑顔で笑ってくれた。
それがなんだか反対に悪く思えてくる。
いつも帰りは他愛のない話をする。
あまり話すのが得意ではない夢を気遣ってか、高尾が話を振ってくれたり、聞いてくれたりする。
「高尾くんて緑間くんとすごく仲良しだよね。あんまり性格は似てないのに」
「あぁ、それよく言われるんだよなー。自分でもよく分かんねー」
「同じクラスだし、同じバスケ部だからかな?」
「そんなやつ、緑間だけじゃねーよ。同じ一年でスタメンってこともあるかもしんねーけど、オレが最初真ちゃんと仲良くなりたいって思ったからかも」
「高尾くんが?」
「そ。実はオレ、中学時代に真ちゃんと戦ってすげー負け方したんだ。それが悔しくてぜってー高校生になったらリベンジしてやるって思ってたのにいざ高校入ったら真ちゃんと同じ高校だったんだよなー」
「え、すごい!運命的だよ!」
「運命なのだよーって?」
「うん!すごい出会い!」
夢は半ば興奮しながら両手を合わせた。