第15章 緑とオレンジ
見ると、地面に足が突っかかっている緑間の姿が。
「真ちゃんみたいに背が高すぎるとブランコ乗るのも大変だね」
昔、よく父親に公園に連れて行ってもらったことを思い出す。公園の遊具の中でもブランコが好きで、ただひたすら日が暮れるまでブランコをこいでいた。
父親が後ろで押してくれて、一生懸命に風をきる。
それがすごく快感で、高く上がれば上がるほど心地よかった。
父親も背が高かったから、一緒にブランコに乗ると足が突っかかってうまくこげなくて、それでもなんとかこごうとする父親。その姿が隣にいる緑間と重なって、なんとも懐かしい気がした。
「真ちゃんっ」
心結はこぐのをやめて地面に足をつけると、隣に座っている緑間に手を伸ばした。
触れられた手に驚いたのか、緑間は少し戸惑った様子だ。
自分よりも大きな手。
テーピング越しからでも微かに温もりが伝わってきて、今手を繋いでいるのは緑間なんだと実感する。
なぜだか不思議な感覚だった。
「真ちゃんっ」
「なっなんなのだよっ!」
「なんでもない!」
「??」
こうしていると落ち着くし、安心する。
そんなことを思っていたら、緑間がキュッと手を優しく握り返してくれた。
何も言わなくても今はただそれだけの行為で良いと思えた。前までの考えが馬鹿みたいに思えて、心結もキュッと緑間の手を握った。