第15章 緑とオレンジ
「真ちゃーん心結ー今日も先帰ってていいぜー」
あともう少しで卒業式シーズン。
最近夢は卒業式関連の委員会が忙しいらしく、下校時間を過ぎても学校に居残りしなければならない日が増えた。そのため高尾はここ最近夢の委員会が終わるまで学校で待っているということが続いた
「夢も和成も大変だなー」
緑間と二人きり、心結が言った。
夢に励まされてから、あんなことを考えることもなくなった。
むしろ、今がチャンスだ。
いつも四人で帰っていると恥ずかしくて何もできない。だから緑間と二人きりになれるこの時間が今の心結にとってはとても大事だった。
普段は二人とも部活が忙しくて何もできないしどこにも行けない。だからこの少しの時間しかないのだ。
「真ちゃんっ…」
「なんだ?」
「…公園、行かない?」
もう少しだけ一緒にいたいというのは恥ずかしいからいつもの公園に行こうと誘う。心結も今はこれがいっぱいいっぱいだった。
公園のベンチに荷物を置き、恥ずかしさを紛らわすために心結は一直線にブランコに向かう。
こぎはじめると、風が当たって火照った頬を掠める。早い鼓動がゆっくりも静まっていくようだ。
「真ちゃんもブランコおいで!」
心結は自分の隣にあるもう一つのブランコを指差した。
「オレは乗らないのだよ」
「とりあえず座りなよー気持ちいよ!」
そう言われ渋々ちょこん、とブランコ腰を下ろす緑間。
緑間とは不釣り合いなブランコがかわいくて笑ってしまう。
「……笑うな」
「真ちゃんがブランコこいでる姿初めて見た〜」
「…足が地面についてこげないのだよ」