第15章 緑とオレンジ

こんなに気にすることもないと思うのだけれど、自分の気持ちばかりが一方的に先走りしている気がしてなんだかちょっと切ない。



｢和成に好きって言われたことある？｣


｢えっ！……えーと……うん｣



夢は恥ずかしそうに言葉を詰まらせてから答えた。



｢いっぱい？｣


｢……けっこう頻繁に、かな｣


｢う〜……｣



確かに高尾は恥ずかしがらずに思ったことはなんでも口にする。今はそれが羨ましいとさえ思った。



｢緑間くんは言ってくれないの？｣


｢聞いたのは告白してくれたときだけかな…｣


｢でもそんなに頻繁に言うものでもないし、緑間くんだから恥ずかしいんだよきっと！｣


｢未だに告白してくれたこともびっくりだからなぁ｣


｢わたしは考える必要ないと思うよ。心結ちゃんが緑間くんを好きなのと同じくらい緑間くんも心結ちゃんのこと好きだよ！」


｢…うん！｣


夢がにっこりと笑いかけると、心結も笑った。そう言われるとなんだか元気が出てくる気がする。



｢…それよりもわたしなんか…｣



｢え？」


｢ううん！なんでもない！とにかく、心配する必要はないよ！」