第15章 緑とオレンジ
茉紘はチラッと緑間を見ると、小声で心結に問うた。
「あっ!うん!」
「まあ!」
茉紘は両手で頬をおおった。
「緑間くんね!心結がいつもお世話になってます!」
「いえ、こちらこそ」
「背、とっても高いのね!」
「いえ……」
「お母さん!喋ってばっかで真ちゃん困ってるよ!」
「あはは、ごめんなさいね!じゃ、ごゆっくり〜」
そういうと、茉紘はスーパーのレジ袋を抱えて家の中へと入っていった。
「ごめんね!お母さんいつもこんなだからさー」
「お前と、そっくりなのだよ」
「えっ、そうかなぁ?」
「ああ、似ている」
「えー、、、…あっ!それよりどうしたの?お母さん来る前呼んだよね?」
そうだ。
帰り際、心結の名前を呼んで引き止めたのだ。
「…何を言おうとしたか忘れてしまったのだよ」
「えー気になるー!」
「また思い出したら言うのだよ。では、」
「…うんっまたね」
心結はいじけたようにぶーと膨れながら緑間に手を振った。
去り際、振り返って名前を呼んで、『好きだ』と言うのはオレにはまだハードルが高すぎたのだよ。