第15章 緑とオレンジ
バッシュを見に行きたいという緑間の提案で、二人は駅に戻り、近くのスポーツ用品店に向かった。
大型の店内に入ればたちまちバスケはもちろん、サッカーや野球、テニスやバレーなどの競技をする上で欠かせないものがたくさん。
「うわあ、ひろーい」
「ここに来るのは初めてか?」
「うん。いつもテーピングとか買いに行ってたのは違うところだったからここは初めて」
「ここが一番バスケの品揃えがいい。オレのバッシュもここで買ったのだよ」
キョロキョロとあたりを見回すと、壁一面に飾られたバッシュやスパイク。ありとあらゆるメーカーのものがあった。
「バッシュ、買い替えるの?」
「まだ決めてはいないが、いいものがあったら買い替える。とりあえず今日は見に来たのだよ。」
緑間はバッシュを手に取り、それをじーっと眺めていた。心結も中腰になって壁に飾られているバッシュを眺める。
こんなにも種類があると、反対に選ぶのに困ってしまいそう。
その後も心結と緑間はしばらくバッシュを眺めていた。
「ありがとうございましたー」
今日はバッシュを買うことはせず、テーピングだけを購入し店を出た。
「付き合わせて悪かったのだよ」
「大丈夫!わたしもバッシュ見れて楽しかった!」
1時間はいただろうか。
バッシュを見ながらバスケの話で盛り上がっていると、1時間なんて早く感じる。店を出ると既に日は完全に沈み、空には星が出ていた。
改めて考えると、付き合うようになってから二人でどこかへ寄って帰るのもこれが初めてだった。
緑間と話しをするときは大体がバスケの話だが、それでもやっぱり楽しい。毎日一緒に過ごしているにも関わらず、もっと話していたいしもっと一緒にいたいと思ってしまう。