第15章 緑とオレンジ
学校までの距離が近いのは便利だが、こんな時だけはもう少し家までの距離が長かったらな、なんてことも考えてしまう。
「…高槻?」
「えっ!!?」
そんなことを考えていたら、黙ってしまっていたらしい。緑間は心配そうな顔で心結の肩を叩いた。
「…大丈夫か?具合が悪いのか?」
「ううん!なんでもない!大丈夫!」
そんなことを考えるのに夢中になってしまっていたことが恥ずかしくなって、顔を隠すように心結は俯いた。あたりを見れば、もうすぐ別れなければならないところまで来ている。
「……真ちゃんっ」
「何だ?」
「このあとちょっと時間あるかな?」
勇気を出して、聞いてみた。
すると、
「特に何もない。時間ならあるのだよ。」
「じゃあっ……少しだけ、寄り道してかない?」
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いつもなら別れるはずの道を、二人で同じ道に来た。
特に行きたい場所があるわけではない。けれどもう少しだけ緑間と一緒にいたくて、心結は勇気を出して寄り道していこうと誘った。
けれど自分から言い出したにも関わらず、特に行きたい場所もない。
「どこに行くのだよ?」
「えっ……と、」
何も考えず誘ってしまったことに心底後悔する。
けれど誘ってしまったものはしょうがない。
「えっと…どこ行こうか」
「行きたい場所はないのか?」
心結はしゅんとしたようにコクリと頷いた。
「なら、少し付き合ってくれないか?新しいバッシュを見に行きたいのだよ」
「…バッシュ?」
「そうだ。…ダメか?」
「ううん!行こう!今すぐ行こう!」