第15章 緑とオレンジ
汗を拭い、制服に着替えてロッカールームを出ると、部室の前には既に緑間が制服に着替えて待っていた。
「待たせちゃってごめんね!」
「問題ないのだよ」
そう言うと、先を歩く緑間。
恋人になってからも、そういうところが変わらないのが緑間らしい。
二人で校門を出ようとすると、校門で話をしていたバスケ部員に声をかけられた。
「お前ら仲良く二人で下校かよ〜羨ましいぜ」
「イチャイチャしやがって!この!」
いつも一緒にバスケをしている部員から言われるからか、緑間はさらに困っている。
心結は恥ずかしくなって赤くなった。
「イチャイチャなんかしてないって!もー!」
「部活中も幸せオーラ出まくりなんだよな〜」
「ま、そのおかげで緑間大人しくなったからいいけど!」
「オレも早く彼女ほしいぜ〜」
「全く、うるさいのだよ。ほら、行くぞ!」
「わあっ!」
緑間は強引に心結の腕を引くと、足早に校門を出て行った。
「お幸せに〜」
「ばいばーい!」
緑間に手を引かれながら、チラッと上を見上げる。
すると緑間の顔がかすかに赤くなっているような気がして、微笑ましくて心結は笑った。
心結も緑間も、家から秀徳までの距離はほとんどない。そのため互いの家の距離もさほどない。
W・Cが終わって、心結と緑間、そして高尾と夢の進展があってから皆歩きで学校に登校するようになり、そのせいかチャリアカーを使う頻度も少なくなっていた。
話しながら歩いていると家までの距離なんてあっという間で、気付いたら別れなければいけないあの公園の付近まで来ている。
正直、心結としては「もう少し話していたい」と思うことが多々ある。それに最近はそう思うことも増えてきていた。
それに今日は、先ほどあんな緑間の表情を見てしまったからなおさら。