第15章 緑とオレンジ
「ったく、あのあとひどかったんだぜー?」
「やっぱり?」
翌日の部活後、高尾は溜め息をつきながら言った。
「母さんに写真見せろとか言われたり、質問攻めされたり、挙句の果てには妹にまで言われてよー」
「やっぱりね笑」
やはり心結の予想通り、高尾は昨日心結と別れたあと母親に彼女のことについて質問攻めにされたらしい。その上妹にもかなりからかわれたとか。
「なんて言われたの?」
「お前に彼女ができるなんて驚きだとか、デートはしたのかとか、大きなお世話だっつーの!」
「こーゆー話するのって面白いしね」
「とにかく散々だったぜ!」
笑っていると、ボールを片付けに行っていた緑間が戻ってきた。高尾の隣に座り、バッシュの紐を解く。
「真ちゃんは親に彼女できたってこと言った?」
「……言っていない」
「なんで?」
「言ったら、笑われること間違いなしだ」
「……どこの家も同じかぁ」
高尾は虚ろな目で言ってから大きな溜め息をつく。
バッシュをぬぎ終えた二人は、ケースにしまうと立ち上がり体育館を出た。
「あ、そだ。今日先帰ってていーぜ。夢が終わんの遅くなるみてーだから待ってるわー」
「おっけー」
そう言うと高尾と緑間はロッカールームに入っていった。