第15章 緑とオレンジ
空を連れて駅への道を歩く。
緑間と大きな進展があったのも空が一緒にいた時だな、と思う。
空がいなければ公園にも行かなかったし、緑間の意外な一面も見られなかった。それに何より、あんなに二人きりで話す機会もなかったと思う。
それを考えると空に感謝だ。
時間通り駅に着くと、駅は帰宅時間で人で溢れていた。
はぐれないように空と手を繋いで母と約束した場所で待ち合わせる。
空は人の波が珍しいのか、辺りをキョロキョロと見回していた。
「おかあさんまだかなー」
「あともう少ししたらくるよ!そろそろ時間だから」
ポケットにしまってあるスマートフォンで時間を確認すると、到着の時刻より5分過ぎている。
もう少ししたら来るだろうと思い、スマートフォンをポケットにしまいなおすと、改札を抜けた一人の女性が大きな声で心結と空の名前を呼んだ。
「心結!!空!!」
大きなスーツケースを抱えて改札を抜けた女性こそ、
「お母さん!」
「おかあさんー!」
心結と空の母ーーー高槻 茉紘。
茉紘は改札を抜けるなり一直線で心結と空を抱き締めた。
「心結も空も久しぶり〜!二人とも大きくなったね!」
久しぶりに感じる母のぬくもり。
空は黙ったまま茉紘の胸に顔を埋めていた。
心結も抱き締める手に力を込める。
「ごめんね。もっと早く帰ってこれなくて」
「ううん!大丈夫!」
心結はにっこりと笑ってピースして見せた。
「とりあえず!早く家に帰りましょ!今日は久しぶりにお母さんがご飯作るわね!」
「うんー!」