第15章 緑とオレンジ
高尾の隣で緑間は実に不機嫌そうだ。
すると、高尾は緑間の耳元に近付き、緑間にしか聞こえないように小声で言った。
「夢と心結はオレ達のだって分からせてやれるじゃん」
「っ……」
「だから悪くねーかもよ!」
いたずらに笑ってみせる高尾。
緑間は戸惑った様子だった。
「な!心結」
「え?なにが?」
「噂されるのも!」
「え、あ?うん!」
いきなり話を振られ、何のことだかさっぱり分からない心結は顔をしかめながらとりあえず返事をした。
そう話してる間にいつもの別々になる道まで来た。
緑間と夢は別れ、心結と高尾は同じ道を帰る。
「じゃーな、また明日。」
「ばいばーい」
普段と変わらず友達のようにお互い別れた。
普通の友達のように。
「さーて!行こーぜ、心結」
「うん!」
二人は並んで歩き出す。
違う道を曲がった緑間も、夢も。
皆気にすることなく、振り返ることなくいつも通りの道を行く。
「………」
振り返ると、皆そうだった。
夢を除いては。
ただ、夢だけはゆっくりと立ち止まって高尾と心結の背中を見つめていた。
「………………」