第15章 緑とオレンジ
「卒業する前に先輩達にも言えてよかったなー」
「…そうだな。」
「それにしても、めっちゃ驚いてたよな。特に真ちゃんに彼女がいるって言ったときは」
「…そんなにオレが異性と交際していたらおかしいか?」
「おかしいっつーかなんつーか…」
なんと表現していいのか分からず高尾は言葉を詰まらせた。
「そりゃ真ちゃんだっていつかは結婚するんだろーけど、まさか高校生で心結を彼女にするとは思ってなかったぜ」
「…そうか」
「宮地サンと木村サン、すげー目でオレらのこと見てたなwww」
「少し、怖かったのだよ」
「オレらの方が先に彼女ができたからな♡」
まさかオレもこのタイミングで二人とも彼女持ちになるとは思ってなかったし。
そう心の中で呟いた。
高尾は頭の後ろで手を組んで、学校の廊下を歩く。
無性に汗ばんで、首にかけてあるタオルで汗を拭った。
「真ちゃーん!和成ー!」
呼ばれた先にいたのは心結と夢。
いつからか四人で帰るのか日課となっていた。
互いに恋人同士であるにも関わらず、この四人だとなぜだかそんなことも忘れてただの友達でいられる気がした。
「どこ行ってたの?」
「先輩達のとこ行ってた」
「先輩?」
「ああ。大坪サンと木村サンと宮地サンに彼女ができました。って報告してきたぜ」
「えっ」
「リア充死ねだってさ」
「ええっ」
いつもの会話は変わらずこんな感じ。
本当に恋人同士というよりも友達同士といった感じだ。
相変わらず心結と高尾はしゃべるし、緑間と夢はそれを眺めている。