第14章 Beat
それからというもの、高尾は心結と緑間には言わず、夢と帰宅する日が続いていた。
二人は不思議がっていたが、これから毎日寄るところがあるからと嘘をついた。
夢も部活をしているため部活終了時間に二人で待ち合わせをして帰る。
居残りをしている時はいつも夢が時間を潰していた。
そして居残りが終わったら共に帰る。
それが日課になりつつあった。
なぜ、こんなことをしているのかは分からない。
でも夢にとってはそれでも良かった。
帰り時の話題といえば、誰が誰を好きとか、恋愛の話をするのではなく、学校の話や趣味の話などをする。互いが恋愛の話をするのは避けていた。
互いが傷付くことを恐れるかのように。
「いつも待ってもらっちゃってゴメンな。」
「ううん!大丈夫だよ!」
いつもみたいに今日あったことを話し合う。
クラスが違うため一緒に帰るときくらいしか一緒に話す機会がない。
夢にとってはこの時間こそが唯一の楽しみな時間なのだ。
「ってことがあって……高尾くん?」
「ん?続けていいぜ!」
「どうしたの?今日は元気がないような気がして…」
「ちょっと考え事しててさ」
「…わたしでよければ聞くよ?」
「あーー…」
言いにくそうに高尾は手を頭の後ろで組んだ。
言えないことなのだろうか。
「言いたくないことだったらいいよ!」
いけないことを聞いてしまったのかと思い、夢は焦って手を振ってみせた。
「いや、そう言うことじゃねーの」
「ん?」