第14章 Beat
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「……慰めてくんね?」
そう言って高尾は夢に手を伸ばした。
そして自分よりも一回りも二回りも小さい体をゆっくりと抱き締めた。
想いを吐き出すように、強く、強く。
さらに引き寄せて夢の顔を自分の胸に埋めさせると、それに応えるように夢もぎこちなく高尾の背中に腕をまわした。
抱き締めるって、こんなにあったけーのかぁ……
布越しからでも分かる、互いの体温。
そして伝わってくる鼓動の音。
すごく心地良くて、すごく安心する。
ずっとこのままでいてぇ……なんてな。
何をするでもなく、しばらくはただこの温もりを感じていたい。
それだけでよかった。
「……西堂、サンキュ。」
高尾の言葉に応えるように、夢はギュッと高尾を抱き締める手に力を込めた。
その体は微かに、だが確実に 小刻みに震えていた。