第14章 Beat
「それと!オレがいる前ではイチャイチャ禁止な!ムカつくから!」
「大丈夫しないから」
確かに、緑間がイチャイチャしているところなんて想像できない。
「………」
緑間はただ不機嫌そうな顔で黙っている。
「イチャイチャが発見され次第オレが排除にいくんでよろしくでっす☆」
高尾はピースをしながらウインクして見せた。
「……キモォ」
「は、ヒド」
「とても気持ちが悪いのだよ」
「キモいより傷付くんだけど」
「とにかく!ってことで今日はもう帰ろう!和成ありがとう!」
「へーい」
三人はベンチに置いてあった荷物を持った。
「あ、てかオレ寄るとこあるから先帰ってていいぜ。イチャイチャすんなよ!クソっ!」
「しないもーん!」
心結はべーっと舌を出した。
「真ちゃん!二人きりだからって早まっちゃダメだかんな!」
「???」
「うるさい!バカ和成!早く行こ、真ちゃん!」
「あ、あぁ」
「ばいばーい」
「また明日なー」
手を振ると、心結と緑間はテクテクと歩いて帰ってしまった。
見えなくなるまで荷物をまとめるフリをして見つめていると、高尾は大きなため息をついた。
「……ってことだ」
誰もいないはずの公園で、高尾は言った。
「そこにいるのは分かってんだぞー」
誰に言ったでもない。
静かな公園で声だけが響く。
すると公園の入り口から恐る恐るゆっくりと姿を現したのは……
「……西堂」
夢だった。
夢は高尾の前に姿を現した。
「えっと、その……」