第14章 Beat
緑間は続ける。
「…オレは高槻が好きだ。」
コクリ。
緊張で声すらうまく出せなくて、心結はただ小さくコクリと頷いた。
今、緑間と目が合っている。
鋭いけれど優しい瞳に胸のドキドキさえも伝わってしまいそうで、どうしたって目が逸らせない。
その目を見れば、緑間も真剣だということが伝わってきた。
「…オレは今日の試合、ただお前のことを考えながら人事を尽くした。その結果がこれだ。」
その瞬間、二人以外の時間が止まった。
「だからっ…高槻、オレとっ!…つ、付き合ってほしいのだよ!!!」
お互いこんなに頬が真っ赤なのは夕日のせいではないはずだ。
頭の中に答えはひとつしかなくて、心結は自分よりも何十cmも背の高い緑間の目を見ながら答えた。
「…わたしでよければよろしくお願いしますっ…」
「……高槻」
もう両想いだってことが分かっているはずだからこんなにドキドキする必要なんてないのに、なぜか告白したあの時よりもドキドキしている。
緑間も今までに見たことがないくらい、真っ赤な顔でぽかんと口を開けていた。
その顔がなんだか面白くて、心結は笑った。
「真ちゃん、今すごくマヌケな顔してた…www」
「う、うるさいのだよ!馬鹿め!」
やっぱり、どんな時も最終的にはドキドキしていたことも忘れて笑いに変わってしまう。
それはきっと相手がこの人だからだと思う。
それがとても幸せで、居心地が良かった。
「これからもよろしくお願いします。」
「こ、こちらこそ、なのだよ」
「真ちゃん緊張してる?」
「当たり前なのだよ!」
「もう両想いだって分かったのに、なんでだろーね」
「男が交際を申し込むのだから、当たり前なのだよ」
「ヘンなの〜」