第14章 Beat
「お前だって緊張しているだろう」
「だって真ちゃんが強引に顔触って見つめてくるからそりゃあ」
「……黙れ///」
思い出して恥ずかしくなったのか、また顔を赤く染める緑間を見て心結はクスクスと笑った。
「これからもよろしくお願いします。」
「……よろしくなのだよ」
心結はぺこりと頭を下げた。
それにつられて緑間も小さく頭を下げる。
きっと、恋人同士になってもこの関係は変わらないだろう。
また少し特別な存在に変わっただけ。
昔はあんなに苦手だったのに、ヘンなの。
今は大好きだけど。
もう太陽はほとんど沈んで空を見上げれば星が見える。
その星がいつもよりもさらに輝いて見えるような気がした。
ふと背の高い横顔を見ると、隣もまだ少し赤みがかった空を眺めていた。
「もう暗くなってきたし、そろそろ帰るのだよ。」
「うん!」
「わざわざありがとう。」
「こっちこそ、今日はありがとう!素直な真ちゃんも見れたし、とっても面白かったしうれしかったです、ハイ。」
「とりあえず!!今日はもう帰るのだよ!」
少しからかってみると必ず顔を真っ赤にして、ほんとに面白いし可愛い。
「もう暗くなったから送っていくのだよ。」
「大丈夫だよ!近いし!」
「いや、オレが付き合わせて悪かったのだよ。ほら、行くぞ」
すると緑間はベンチに置いてあったカバンを手に取り、スタスタと歩いていってしまった。
置いていかれぬようにと心結もそのあとを追った。