第14章 Beat
そして土曜日。
その日は久しぶりの練習試合だった。
相手は決して弱くない、同等の相手だった。
以前に何回か練習試合をしていたが、秀徳の方がやや優勢といったところだ。
そんな相手と久々の練習試合。
心結と緑間には約束事がある。
「…真ちゃんっ」
「な、なんだ」
「……頑張ってね!」
「…当たり前だ。今日もオレの運勢は最高なのだよ。」
今日も緑間はスタメン出場。
先輩がいなくなって何回目かの練習試合だが、緑間と高尾がスタメンなのは変わらず、あとは2年生が試合に出ると言った状況だ。
緑間はそう言ってふっと笑うと、左手のテーピングをはずしてコートへと歩いていった。
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相手もそれなりの強豪校。
にも関わらず、今回は秀徳が30点以上差をつけて圧勝した。
そして緑間は相当な数のシュートを撃ったが、一本もはずすことはなく緑間の放ったシュートは全てゴールに吸い込まれていった。
「…真ちゃん今日絶好調だね」
高尾はコートの中で緑間に言った。
「…今日の蟹座は1位だからな。」
「…ふーん」
汗を拭きながら緑間は、得意気な、実に満足そうな顔をして帰ってきた。
「真ちゃんすごいドヤ顔」
「ふっ…」
「やだ真ちゃん」
なんていいつつも。
「…かっこよかったよ」
「……///」
「…勝ったね。」
はにかみながら言う心結を見て、緑間も頬を赤くした。恥ずかしさを隠すように、緑間はぷいっとそっぽを向く。
「……お前のことを考えてシュートを撃っていたのだよ」
「…え?」
「絶対に負けるわけにはいかないと思った。それだけなのだよ」
その言葉を聞いて反対に心結が赤くなる。
あとからまた恥ずかしくなったのか、緑間は眼鏡をクイッと上げた。