第13章 Heart
「……泣いている時も、笑っている時も高槻を見ていると胸が苦しくなる。これが…人を好きになるということなのだろう?」
目をこすって緑間を見ると、微かに緑間の頬が赤くなっているのが分かる。
窓から射し込む夕日のせいか、それとも否か。
「……オレは、高槻が好きなのだよ。」
これは、夢か幻なのだろうか。
今まで一度も聞いたことのない、緑間の口から発せられる『好き』の二文字。
信じられなくて、時がしばらく止まったみたいだった。
「やっと、異性を好きになるということが分かったのだよ……って、また泣いているのか!?」
その言葉が嘘みたいで、たまらなくなってまた涙が溢れ出した。
頬を伝い落ちる涙が止まらない。
「すっすまない!そんなに嫌とは知らずに…っ」
「ありがとう…っ」
「………?」
「ありがとう…真ちゃんっ…」
聞き間違いなんかじゃない。
今目の前にいる人は、間違いなく好きと言ってくれた。
それが嬉しくて、最初に出てきたのは『ありがとう』という感謝の言葉だった。
「高槻……」
わたしも伝えなきゃ。
言ってくれたんだから、わたしもちゃんと想いを伝えなきゃ。
「わたしも、好き…」
この想いが、届いてほしいから。
「わたしも真ちゃんが好きっ…」