第13章 Heart
心結ちゃんは緑間くんが好きなの?
……高尾くんじゃなくて?
緑間くん?
到底嘘をついているようには見えないし、心結は嘘をつくような人間ではなかった。
今は反対にそれが怖い。
それに両想い。
じゃあ高尾くんは……どうなるの?
「……真ちゃんに告白しようと思うんだ。わたしが言わないと…」
「……………」
なんて返事をしたらいいか分からない。
言葉が出なかった。
「どう思う……?」
「えっと……」
心結ちゃんが緑間くんを好きで、緑間くんも心結ちゃんが好きなの?
高尾くんじゃなくて?
「……いいと思うよ!」
「夢〜!」
咄嗟に出てきた言葉は、気持ちとは裏腹の言葉だった。
「心結ちゃんが緑間くんを好きなら告白したほうがいいと思う。それにもしかしたら両想いなのかもしれないし…」
「そう…だよね!」
心結はぱぁっと顔を輝かせた。
それを見て夢も笑う。
「…でも…心結ちゃんが緑間くんを好きってびっくりしたよ」
「…真ちゃんのせいだもん…」
また心結は頬を赤くして俯いた。
膝を抱えてそこに顔を埋める。
ほんとに、好きなんだ。
心結ちゃんがこんなに顔真っ赤にしてるとこ見たことないもん。
緑間には悪いが、本当なら心結と高尾に幸せになってほしかった。
二人なら素直に諦めることができたから。
それに、高尾はこのことを知っているのだろうか。
知っていたとしたら尚更高尾がかわいそうな気がして、ただ夢は心結の話を聞いていた。
ふと空を見ると、大きな雲がふわふわと浮かんでいるだけだった。