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The Way【黒子のバスケ】

第13章 Heart


ちょうど部活が終わった頃の時間だろう、高尾は心結が休むたびに毎日電話をかけてきてくれた。

高尾の声を聞くと安心できて、頑張らなきゃって思える。
夢も中谷監督も心配して電話をしてくれて、今は大変だけどなんだか胸がほっこりしてその時だけは疲れを忘れることができた。



『真ちゃんも心結のこと心配してんだぜ?あ、真ちゃんにかわるわ!』


『おい!高尾!』


電話越しに聞こえた少し久しぶりに聞く声。
いきなりのことにあたふたとしながらも、その声を聞いて胸が熱くなった。


「…しん、ちゃん?」


無意識に名前を呼んでいた。


『高槻……』


「えっと…ごめんね、電話ありがとう。」


『気にするな。それより、大丈夫なのか?』


「うん!おばあちゃんもだいぶ良くなってきたから、あともう少ししたら学校行けそう!」


『それはよかったのだよ。……すまないな、連絡してやれなくて』


「ううん!わたしこそ言わなくてごめんね!それと……」


『ん?何か言ったか?』


「なんでもない!」


『……そうか、でもあまり無理をするな。お前は頑張りすぎるところがあるからな』


「えっあっはいっ!ありがとうございます!!!」



なぜだかそう言われたことが無性に恥ずかしくなって、頭の中がパニックになる。


『とりあえず、何かあったら言うのだよ。では、』


そこで電話が途切れた。



ドキン、ドキン。


久しぶりに聞く緑間の声に不覚にもドキドキした。
本当はずっと聞きたかった人の声が電話越しでは少し違った人のように聞こえて、揉めていたことも、あんな態度をとってしまったことも忘れてしまう。

声を聞いただけなのに胸が熱くなって、早く本当の声を聴きたくなる。バスケしている姿を見たい。


それで、緑間のラッキーアイテムを見て「今日もヘンなの」って笑いたい。



それが出来なくてなんとももどかしい。



ってそんなこと言ってる場合じゃない!



心結は自分に言い聞かせて握り締めていたケータイを置いた。



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