第13章 Heart
高尾と夢の様子がいつも通りになって安心したのも束の間、インフルエンザで寝込んでいた祖母の容態は日に日に悪化していった。
体力が衰えているこの歳でインフルエンザは辛いのだろう、熱は上がる一方で顔色は悪い。
空はもう熱はすっかり下がり学校にも行っているが、その反面祖母はひどかった。
「おばあちゃん、大丈夫?」
「…あぁ…大丈夫だよ、ごめんねぇ…」
額に手を当てると、自分とは比べ物にならないほど熱い。熱も40度をこえていた。
見ているだけで苦しそうだ。
「おばあちゃんっ大丈夫?」
空も近寄ってきた。
幼い空でもわかるのだろう、祖母の顔を心配そうに見ている。
「空!もう時間でしょ?早く学校行かなきゃ!」
「うん!でもおばあちゃん大丈夫なの?」
「大丈夫!お姉ちゃんがそばにいるからね。」
空は少し不安そうにコクリと頷くと、ランドセルを取りに駆け出した。
ランドセルを背負って帽子を被ると、空は外に飛び出していった。
「行ってきまーす!」
「行ってらっしゃい!」
心結はしばらく空が出ていったところを見つめていた。
「…心結ちゃん」
「ん?どうしたの?苦しい?」
「心結ちゃんも早く学校に行かないと遅刻しちゃうよ。ほら、」
祖母は目で時計をさす。
見るともう既にギリギリの時間だ。
「…今日は学校休むね。」
「え?何言ってるの。おばあちゃんは大丈夫だから早く行きな!部活も休めないって言ってたでしょ?」
「いくらインフルエンザだって、辛そうなおばあちゃん一人おいて行けないよ!わたしよりも先に空だって帰ってくるし、掃除とか洗濯だってやらなきゃ!」
そう言うと心結は一方的に立ち上がって部屋を出た。