第13章 Heart
一瞬、頭が真っ白になって何が起こったか分からなかった。
『オレ、好きなヤツがいるんだ。』
『心結。高槻心結。』
まさかと思った。
こんなに身近な人の名前を出されるなんて正直思ってなかったから。
夢は一人、部屋のベッドの上でうずくまっていた。
勇気を出して告白したのに、その想いはあっけなく断ち切られた。
考えていなかったわけではない。
高尾はいつも心結と一緒にいると楽しそうで、いつも笑顔だった。誰と話すにも笑顔だが、心結だけは周りが見ても分かるほど特別だった。
それはただ単に二人が幼馴染みで仲良しだからだとずっと思っていた。
心結も、『和成は幼馴染みで特別な存在だけど、異性としては違うかなぁ…』と言っていた。
高尾もそれは同じだと思っていたのに、それは間違いだった。
とんだ間違いだった。
…わたしは、フラれたんだ。
抑えようと思ってもとめどなく涙が溢れてくる。
歯を食いしばっても止めることができない。
高尾が目の前にいたときはかろうじて平静を保っていたが、本当は今にも泣き出してしまいそうだった。
でも、心結の名前を聞いた途端、抑えきれなくて涙が頬を伝った。
高尾に泣いているところを見られたくなくて、情けないところを見せたくなくて気付いたら家へと走り出していた。
本当に高尾が好きだったから最後にひとつだけって思って、勇気を振り絞って好きな人の名前を聞いたのに……
フラれる可能性の方が高いことは分かっていた。
いつも笑顔で元気で、優しくてバスケがうまくて、高尾くんはいつも注目の的だった。
そんな人がわたしなんかとってことは十分分かってたはずなのに、、
「どうしよ……涙止まんないよぉ……っ」