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The Way【黒子のバスケ】

第13章 Heart


「………ってことがあって……そのまま…」



「……真ちゃんのこと好きになったのかよ?」


心結は恥ずかしそうに黙ってこくりと頷いた。



全てを聞いた。



緑間から言われたこと、ケンカしてる理由、好きになったことも全部。


一足先に、そんなことになっていたとは知らなかった。ひどい焦燥感に駆られる。



単純すぎるし、おかしい。
タイミング悪いを通り越して良すぎるわ。


ずっとオレが勘違いしてたってことかよ?



「…お前といると動悸がするとか……笑うわマジで」



本人の前で言うとか告白したも同然じゃねぇか。
ほんとにどこまでアイツは天然というか鈍感というか…
天才で頭は良いのにそういうところは疎すぎる。



「わたしだって…びっくりしたもん」


「…よかったな、両想いじゃん。」


「でも、真ちゃんは本気で病気なんじゃないかって思ってるし…」


「緑間もそこまでバカじゃねーよ。」



だって、真ちゃんの本当の気持ち聞いたもん。
あれはさすがに本気だった。


「どうしたらいいんだろ、わたし…」


「どうしたらって、告白すりゃいいんじゃん」



両想いならさ。
誰も止めねぇって。



悩んで焦って、今までオレのやってきたことはなんだったんだ?
こんなこと聞かされて、今更心結に告白なんてできるわけねぇじゃん。



………ったく、バカみてぇ……




最初からオレの出る幕なんてなかったってことかよ。



涙が溢れそうになるのを必死で堪えた。
本当は心結が何て言っているかなんてよく分からなかった。

空は真っ黒な雲で覆われていて、今にも雨が降り出しそうな雰囲気だ。


「……って、和成大丈夫?顔色悪いよ?」


心結は心配そうな顔で高尾の顔をのぞき込んだ。


やめろって、そんな顔で見んなよ。



「あー……わりぃ…怠くてさ、」


「早く言ってよ!ごめんね、付き合わせちゃって!」


「大丈夫だって。ごめんな。じゃあ」


そう言って別れた直後、空から大粒の雨が降ってきた。


高尾は早歩きでそのまま玄関のドアを開け、その場に立ち尽くした。









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