第12章 キミのせい
「あ!!分かった!!!」
心結の様子が少しおかしいような気もしたが、高尾は気にしなかった。
「で?真ちゃんとまだケンカしてんのかよ?」
「…してるよ。今は会いたくないもん」
「お前らが何でケンカしてんのかは知らねーけど、早く仲直りしろよ。バスケやりずらくてしゃーねーよ」
「……ごめん。」
「まぁ、早く仲直りしろよ!じゃ!」
「うん。バイバイ!」
笑顔で手を振って帰っていった心結。
真ちゃん一人で帰らせるのわりーかなーって思ったけど、心結と一緒に帰れないこともまた残念。
西堂いるし、仕方ない。
早く言わなきゃ緑間に心結をとられてしまう。
そんな焦りはあるが、今はちょうど心結と緑間はケンカ中。悪い気もするが、今は好都合だ。
先を越されることもないだろう。
待たせたら悪いと思い、高尾は急いでカバンを持って夢のところへと走った。
「待たせてわりー」
「ううんっ!……ごめんね、疲れてるのに」
「大丈夫だって!で?用ってなに?」
「あとで、話すね」
「おおー」
呼び出してまで言おうとすることだから、大事なことなんだと思った。
夢が何を言うのか、全く見当もつかなかった。
高尾は夢とも家の方向が同じだが、いつもバスケしている公園で方角が別れる。
別れる公園が近づいてきても夢はいっこうにそれらしいことを言ってこない。気になって高尾は聞いてみると、夢は公園の中に入って、いつも休憩するときにすわるベンチに駆け寄った。
今日はさすがにバスケをする気はないと思いながらも高尾もベンチに寄りかかった。
「…で?」
「ごめんね。わたし、高尾くんに言わなきゃいけないことがあったの。」
"言わなきゃいけないこと"とは何のことだろうか?
言わないと、ダメなこと?全く分からない。
外は完全に真っ暗で、あるのは少しばかりの街頭のみ。
俯いている夢がどんな表情をしているかなど、分からなかった。