第12章 キミのせい
その日はちょうど金曜日で、寒いけどよく晴れた日だった。
起きて一番最初に思い浮かんだのは心結の顔、そして次に緑間の顔。
ついに明日、言うんだ。
心結に好きだって。
思い切って、勇気を出して。
部活が終わって、二人きりになったときに直接。
緑間に先をこされるまえに。
学校に来てからもそのことばっかり考えている。
授業にも集中できないしバスケにもよく集中できない。
オレは普段は占いなんて信じない。真ちゃんには悪いと思うけど、あてにしていない。そんなことを言ったらまた真ちゃんに悪態をつかれるだろうから言わねーけど!
でも、こういう時だけは馬鹿みたいに信じてみようと思うんだ。なぜなら、明日はオレのラッキーデー。
最高にいいって訳ではないけれど、オレは明日に賭けたんだ。
とは言っても、本当は自信がない。
成功しても、断られてもオレはきっと心結を好きでい続けるだろう。
だって、そんな簡単に忘れらんねーもん。
そんなことを考えながらバスケなんてできるはずがなく。
「……さっきからニヤついて、気持ち悪いのだよ」
「あー、ごめんごめん!って引きすぎだろ!」
自然と顔がニヤけてしまっていたらしい。
緑間は顔を引きつらせて相当引いている。
当たりはもう日が沈み、真っ暗になった頃。
やっと部活が終わって体育館を出ると、そこには何故か夢が立っていた。
「高尾くんっ!」
「あれー?西堂じゃん。どうした?心結なら先部室戻っちゃったけど」
「違うの!心結ちゃんじゃなくて、その……高尾くんに用があって……」
「オレに?」
夢は俯いたままコクリと頷いた。
夢は話したいことがあると言った。とりあえず高尾は着替えて荷物を取りに行こうと部室に戻ると、部室から出てくる心結の姿があった。
「和成!早くしてよー先帰っちゃうよー」
「あーごめん!つか、さっき夢がそこにいてさ、オレに用事があるって言うから先帰ってていいぜー」